ほぼ100%広告にまつわる映像を15年以上作ってきた。駆け出した当初はクライアントの商品を世の中に知らしめることこそ自分の使命のように感じていたものだ。しかしそのときそうやって突っ走ってきたことで新たな価値観を見いだせるようになったのだから、何事も一生懸命やるのはいいことだ。
10年を過ぎて、はたして自分が作る映像は人のために役にたっているのだろうかという疑問が頭から離れなくなった。それはインフォマーシャル(通販広告)をたくさん作るようになってからより顕著になったと言っていい。インフォマーシャルは熾烈でドライな世界だ。商品が売れている間は永井さんでなきゃだめだと代理店を飛び越えてクライアントから指名されるくらいであったが、売れなくなるとあっさりと首を切られた。それで文句をいうひとは大勢いたが、個人的には悪くないシステムだと思っていた。
まず最初に、映像は果たして世の中の役に立つのかを考えた。
映画のようなエンターテイメントは価値があると思う。映画は大好きだし、わざわざお金を払ってでも観たい映画はたくさんある。
しかし、ぼくが映画を作るのは違う。少なくとも時期尚早だ。それではエンターテイメント以外で価値のある映像とはどんなものなのか。
考えて考えた。いろいろなところへでかけて自分の世界を広げようとした。もし見つからなければ映像の世界をやめようと本気で考えていた。6ヶ月かかってひとつの答えに到達した。それがGRIT JAPANだ。
GRITとは、やり抜く力という意味だ。アンジェラ・リー・ダックワースさんという中国系アメリカ人の書いた本がまさに「GRIT」である。当時受けていたカウンセラーが教えてくれたこの一冊の本を読んでぼくの中のスイッチが入った。そうだGRITだ。これだ。これなんだ。
ダックワースさんは戦略コンサルタントとしてキャリアをスタートしたのち、あまりの厳しさで辞め(本人がTEDで言ってました)、もっと厳しい環境である中学の数学教師になった(と本人がTEDで言ってました)。そこで学業が優秀な生徒とそうでない生徒の間にどんな関係性があるのかに興味を持ち研究を始める。すると成績が良いこととIQに相関性はなかったことがデータで示された。では成績のよい生徒は何をしているのか。一気に省略すると、それがGRITだった。本人の決して諦めない気持ちと続ける努力こそが重要だったのだ。
GRITを持っているひとの映像を作り、それを日本中でつなげよう。熱い魂、情熱、やり抜く力。人々を勇気づけ、元気にする映像。
暗い気持ちになっているひとはこれを観て元気をつけ、今一生懸命やっているひとはもっともっと力が湧いてくるような熱い人をどんどん紹介しよう。それはきっとエンターテイメントとは違った形で、価値のある映像となるはずだ。
ぼくのビジョンはこうだ。
・人のためになる映像をつくる。
・社会に貢献する。
・日本を熱くする。
それにはまず、自分がGRITを持って取り組まなければいけない。構想だけではだめだ。実際に動かし、ともに働いてくれるパートナーを見つけ、利益を上げ、継続していく仕組みと組織づくりが必要だ。そのために、このブログを使ってぼくのビジョンを言い続けることにする。第一歩。